小さい頃からじっとしているのが苦手で歯みがきにも苦戦していました。
お陰で一度病院で麻酔をして歯石取りも(><。)
その後はせっかく綺麗になった歯を維持していくために、楽しく声をかけながら短時間で終わらせ、終わったらすぐご褒美(はみがきガム)、というのを繰り返していたら、最近は「歯ブラシしよ!」という掛け声で膝に乗ってくれるようになりました♪
それでも必死に耐えているお顔にはなっちゃいますがw
毎日はなかなか難しいですが、頑張って一日おきには歯みがきするようにしています!
<歯みがきに対する意気込み>
歯石で歯が黄色くなり、口が臭くなってしまったわんちゃんを何匹も見てきたので、それは避けたいなと思って歯みがきを続けています。
<難しいところと思うところ>
貴院の歯みがき講座に通ったおかげで、難しいと思うところがありません。
歯磨き後にガムを貰えると分かっているので、「歯みがきしよっか!」と声をかけると、喜んで走ってきます。
それが可愛くて、飼い主側も歯みがきをしてあげようとなります。
以前は拭くだけシートでたまに軽く拭いているだけでしたが、歯茎が赤くなり、今後歯石が溜まることによる口内トラブルが怖いので 最近は猫用歯ブラシでしっかり1日2回、細かく磨くようにしています。起きていると嫌がり難しいのですが、寝てる間に磨くので全然起きずしっかり奥まで磨けます。
ご飯はカリカリしか食べませんが(たまにスープ系をご褒美であげる)、結構汚れが溜まっているので、これからも歯磨きは習慣的に続けていこうと思ってます。
体勢について
“こうじゃなきゃいけない”というのは基本的にはありません。
本人が落ち着ける楽な体勢、もしくはご家族が歯みがきがやりやすい体勢であればそれでOKです。
歯ブラシ以外の方法
歯みがきシートは、歯の見えている部分の歯垢は落とせますが、見えない部分(歯と歯肉の間=歯周ポケット)の歯垢は取れません。デンタルガムや飲み水に入れるタイプなどもありますが、やはり歯ブラシ、特に歯周ポケットに良く届く先細タイプが理想です。
歯ブラシを噛んでしまう/シートがボロボロになる
噛んでしまう・歯ブラシで遊んでしまう場合はすぐに取り上げましょう。
(噛んだら歯ブラシはしないことを教える)
遊ぶならやらない、噛む前に歯ブラシをやめて褒めるを繰り返します。
シートも同様、噛むならやらない、噛む前に引き上げて褒めるを繰り返します。
年齢を重ねての再チャレンジは無謀?
トレーニング次第なので、年齢は関係なく始めていただいて大丈夫です。
口周りを触るのが難しい子は、そこから徐々に慣らせなければいけないので、時間はかかります。
また、歯肉炎・歯周炎などがある場合は痛みから触られるのを嫌がる場合もありますので、その場合は無理せず、治療を優先します。
どの位やればいいかわからない
目安として歯垢のヌルヌルが落とせれば、歯みがき完了です。ただ時間をかけてしまうと嫌がってしまうので、なるべく手早めに終わらせる様にします。歯石や歯垢が残っているところを、ピンク色に光らせ、視覚として認識できる歯科専用のライトもございます。
ゴールがわからない
最低1日1回、歯ブラシで1本1本丁寧に磨くことができれば完璧ですが、個々によってゴールはそれぞれ違います。「嫌がらずに口を触ることができる→歯にタッチしても動かないでいられる→ガーゼで磨くことがきる→歯ブラシで磨くことが出来る」というステップを踏んで、歯ブラシで磨くことがきるようになるのが目指すゴールではありますが、出来るようになるスピードも個体差はあります。難しい場合はデンタルジェルを舐めさせる、歯肉に塗り込む、デンタルガムをあげるなどもデンタルケアのひとつです。その子の性格や状況にあったデンタルケアをしながら、継続することが何よりも大事!無理ないペースで。歯ブラシで磨いていても、磨き残しによる歯垢の付着から歯肉炎、歯周炎と進行している場合もあるので、定期的な検診は必要となります。
猫の歯みがき
猫の歯みがきの場合、歯ブラシに慣らせるのは、犬よりも性質上難しい場合があります。猫用のデンタルガムや、口腔環境を整えるサプリなどの使用もおすすめします。また、洗濯ネットに入れて顔だけ出してやる方法や、寝ている間に行うという方もいらっしゃいます。歯ブラシの触感が苦手という場合は、濡らした綿棒を使うとやりやすいかもしれません。
強さ
歯ブラシがすこしたわむ程度(100gほどの力をかける)が目安です。
強すぎたら痛いですが、弱すぎても歯周ポケットの中の歯垢に届かないので、ある程度の力は必要になります。
出血
歯肉から出血する場所は、既に細菌感染による炎症が起こっているため、出血するところほどしっかり磨いて細菌を掻きだしてあげることが必要になります。炎症が治まれば自然と出血もしなくなるようになります。
歯と歯肉の間に歯石が付着している場合は、歯ブラシでは歯周ポケットに届かず炎症が中で広がってしまう可能性があるので、歯肉が赤く腫れていたり出血がひどい場合には、一度診察で診てもらいましょう。
ちゃんとできているかどうか
「歯周病=歯石」ではないので、歯石が付着していなくても歯周病が進行している場合はあります。
歯肉の赤みや腫れ、歯肉からの出血がないかのチェックします。
また、細菌の感染がなければ基本的に口臭はしないので、口臭がする場合も注意が必要です。
歯みがきのやり方に不安がある場合は、当院の歯みがき養成塾を是非受講してください!
毎日するのは努力できない
習慣づけることが大切です。たまにしっかり磨くより、少しでもいいからコツコツ毎日磨いた方が効果的です。
また動物もたまにされるよりも、毎日の方が慣れてきてくれるようになります。
一度ついてしまった歯石・汚れ・黄ばみ口臭
一度ついてしまった歯石は基本的に歯みがきでは除去できないため当院では麻酔下でのスケーリングを推奨しています。
まれに歯みがきガムなどで歯石が取れるケースもあるようですが、肝心な歯周ポケットの歯垢・歯石は取れません。また、硬すぎるものを噛ませると、簡単に歯が欠けたり折れたりしてしまい危険です。絶対に与えないようして下さい。(ハサミで切れない固さのものは与えてはいけません)
歯垢などの黄ばみ・汚れはある程度歯みがきで落とすことができますので、歯ブラシや歯みがきシートを使用し、定期的に歯みがきを行ってください。口臭が気になる場合は口腔内の善玉菌を補うサプリメント「プロバイオサイエンス」で口腔内の環境を整えてもらうことをご案内しています。
無麻酔でのスケーリング
無麻酔でのスケーリングは、動物に強い痛みと恐怖心を感じさせ、口を触られるのがトラウマになってしまったり、処置中に暴れて重大事故を引き起こすリスクがあります。また、正確な診断と治療ができないため当院では麻酔下でのスケーリングを推奨しています。
まずは受診いただき獣医師とご相談ください。
持病等があり全身麻酔を悩まれている方もまずはご相談いただき、麻酔をかけて問題ないかを確認した上で実施いたします。
皆様こんにちは。日本動物医療センターグループ歯科チームリーダーの獣医師 與名本です。
今回のイベントのテーマは『ワンちゃん・ネコちゃんの歯磨きを応援する』だったのですが、、、
突然ですが、皆様ご自身の歯の健康に関して自信はありますか!?笑
自信がある!と思った方もそうでない方もいらっしゃるかと思いますが、定期的に歯医者さんで検診を受けてらっしゃる方はどのくらいいらっしゃるかご存知でしょうか?
実は定期チェックを受けてる方は3人に1人しかいないとの調査結果があります。自信がある!と思った方の中には、毎日歯をしっかり磨いてるのに定期チェックなんて必要なの?と思ってる方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。
では、『8020(ハチマルニイマル)運動』をご存知でしょうか?
8020運動とは、80歳で20本の歯を残そう!と言う、厚生労働省と日本歯科医師会が広く国民に提唱している啓発活動です。
この8020運動のキモの1つとも言えるのが、3か月に1回の歯科医院での定期検診です。これは、「歯周病治療を受けた後、適切なセルフケアが出来ていたとしても、歯周ポケット内の歯周病菌の数は3か月で元の値まで戻ってしまう」と言う、予防歯科先進国であるスウェーデンで発表された論文が根拠になっています。
つまり、「毎日歯みがきをしていたとしても、3ヶ月に1回の定期検診無しでは、80歳になった時に20本の歯を残せないかもしれない」という事なのです。
ではワンちゃん・ネコちゃんはどうでしょうか?
実はワンちゃん・ネコちゃんにも歯周病治療ガイドラインが存在するのです。残念ながら日本国内にはないのですが、AAHA(アメリカ動物病院協会)から「2019 AAHA DENTAL CARE GUIDELINES for Dogs and Cats」が発行されています。
その中で提唱されている要旨を以下に抜粋します。
1. 生後6か月を経過したら最初の歯科検診を受けること
それでは上記を一つずつ解説していきましょう。
1. 人でも幼少期からの定期歯科検診が推奨されているように、ワンちゃん・ネコちゃんも早期に歯科検診を開始することで、噛み合わせの問題や乳歯晩期残存(乳歯が抜けずに残ってしまうこと、乳歯遺残とも)、若年性の歯肉炎などに関して気付くことができます。これらを気付かず放置してしまうと、早期に歯周病を発症して若いうちに歯を失ったり、かみ合わせが悪く口腔内や口唇に潰瘍ができて痛みで食事がとれなくなったり、更に悪いケースでは顎に癌が出来てしまったりすることもあります。
ワンちゃん・ネコちゃんはいかに歯周病が多く、そのコントロールが重要かお分かりいただけましたでしょうか?ではむし歯はどうなの?と疑問に思う方もいるかと思います。実はワンちゃん・ネコちゃんの口腔内トラブルは歯周病関連が最も多い一方で、ワンちゃんの齲蝕(うしょく:むし歯のこと)は人に比べ非常に少なく、ネコちゃんでは報告がありません。従って、歯冠部(歯肉から出ている歯の頭の部分)の歯磨きの重要性は比較的低く、歯周ポケットをいかにきれいに保つかが重要なのです。
「プラークコントロール」という言葉がありますが、歯周ポケットの歯垢を除去することで歯周病菌の増殖を抑え、歯周病の進行を予防することが出来ます。人では「Red Complex」という歯周病菌の極悪御三家であるPorphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス、以下P.g菌)・Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコーラ)・Tannerella forsythia(タンネレラ・フォーサイシア)が有名で、そのトップに君臨するのがP.g菌だと言われています。ワンちゃん・ネコちゃんの口腔内にもP.g菌の親戚であるPorphyromonas gulae(ポルフィロモナス・グラエ、以下グラエ菌)が存在し、歯周病の主な原因菌になっていると考えられています。
歯周病菌のほとんどは酸素を好まない嫌気性菌で、歯垢歯石が沈着して酸素が届きにくくなった歯周ポケット内で血液を餌に増殖します。歯肉に炎症が起こると出血し嫌気性菌が大量に増えるため、炎症の原因となる歯垢を歯ブラシで除去して炎症を抑え、歯周ポケットに酸素を送り込むことで歯周病菌の増殖を抑えられると考えられています。
このグラエ菌がどのくらい活性化しているかを調べる検査が、当院で実施している「歯周病リスク検査」です。一見、肉眼上では歯石がほとんどなくきれいに見える歯だったとしても、この検査で陽性反応が出た場合はグラエ菌が活性化しており進行した歯周病がある可能性が非常に高いため、すぐにでも麻酔下での検査・治療をご相談いただいた方が良いと考えられます。
今回の総論では毎日の歯ブラシによるホームケアに加え、定期的な麻酔下での検査・治療の重要性に関して、ワンちゃん・ネコちゃんの歯周病治療ガイドラインに加え様々な科学的データを基にご説明させていただきました。私たちは、『歯の健康を保つことが長寿の秘訣になる』と信じています。これを読んだご家族様が正しい知識を身に付け、皆様の大切な家族であるワンちゃん・ネコちゃんが、共に『健康で美しく長生き』できるよう、今後もお手伝いさせていただけますと幸いです。
日本動物医療センターグループ
歯科チームリーダー・獣医師 與名本 輝