歯みがき応援隊

予防歯科チーム × Kizuna
歯みがきが大切なことは、多くの方が認識され、一度は取組んだ事があると思います。しかし、実際にチャレンジするとなかなか難しいですよね。嫌がってしまう経験をすると、歯みがきを諦めてしまう方も多くいらっしゃいます。では、口腔ケアを全くしなかった場合、どうなるのでしょうか?

近年人と同様、口腔衛生と全身の健康状態は大きく関連していると言われています。歯石や歯肉炎は気になるけれど口腔ケアが難しい。そんな悩みをよくご家族様からお聞きする機会があります。

そこで今回、皆さまがどのように歯みがきをしているか、どんな所が難しいと思われているか、他の方の意見も共有して、歯みがきができるようになる子を1頭でも多く増やしたいという企画を考えました。

先日、公式LINEにて、歯みがきに関するアンケートを行いました。驚くべきことに、100件以上もの回答をいただきました。さらに、具体的なお悩みや感想を書いていただいた方も60件以上いらっしゃいました。このような反響から、歯みがきに関して悩みを抱えている方が多いことが伺えます。

皆さまからいただいた回答は、予防歯科チームで一つ一つ丁寧に読ませていただきました。今回のイベントに留まらず、継続してご家族の皆さまに参考になる情報をお届けできればと思っています。

わんちゃんや猫ちゃんが健康で生き生きと過ごせるように、皆さまには大切な家族のお口の状態について知っていただき、より良い方法で口腔ケアに取り組んでいただきたいと強く願っています。

どうぞ、「歯みがき応援隊」をご活用いただき、皆さまのフィードバックお待ちしております。
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目次

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歯みがきに関するアンケート

皆さまのご自宅の歯みがきの状況についてお伺いしました!

歯みがきに挑戦したことはありますか?

皆様の意識の高さを感じました。素晴らしい結果です。
残念ながら口腔衛生の意識がそこまで高くない時代は動物の歯みがきが当たり前ではなかったため、歯肉炎や口臭、口の痛みで悩むシニアの動物が多く来院しています。是非、このチャレンジが継続できるよう病院として検討していきたいと思います。

歯みがきをやってみて、動物は受け入れてくれましたか?

75%以上の方が難しいながらも受け入れてくれたという結果も思っているより高いものでした。歯肉炎が出てから始めると、痛みや出血などで歯磨きが苦痛になってしまいます。
若い頃から習慣付けること、またその子に合わせた方法やペースで慣れさせていくことがコツになります。
できなくてあきらめてしまった子も受け入れてくれる方法があるかもしれません。是非ご相談いただきたいと感じました。

歯みがきを行っている方はどのくらいのペースで行っていますか?

食事の食べかすが歯石となり口腔内に定着するのは 2-3 日と言われています。
病院の問診でも、月に 1 回のトリミングサロンの歯みがきでケアができているとお答えをいただくことがあります。
できれば 1 日 1 回を目標であることを認識いただけると嬉しいです。

歯みがきをしている方は何を使っていますか?

口の中に手を入れる、デンタルシート(ガーゼ)を使用する、ブラシにステップアップすることが理想ですが、既に歯ブラシでのケアが一番多いことが素晴らしい結果です。ブラシを頑張っているうちに、思っているより歯肉に圧がかかり動物の痛みや違和感につながることがあります。また病院の検診で利用している歯石ライトでは歯石の溜まりやすい部分、みがき残しが可視化できます。是非歯石チェックや歯磨き教室でお気軽に病院にご相談ください。

難しいという方はどのあたりが難しいと思いますか?

うまく歯みがきを継続されている方は思考錯誤しながら様々な口腔衛生グッズの中から、わが子に合うものを選んでうまく使われていますね。
既にある歯周病で痛みがある場合は、頑張って歯ブラシをしようとしてもうまくいきませんので一度歯石除去を行うなどアドバイスを行います。飽きてしまう、動いてしまう場合には一度に全て行わず歯石が付着しやすい部位を優先的に実施するなど、その子個人にあった歯磨きの方法の検討が必要です。できる範囲から始めてステップアップするお手伝いをしていきましょう。

歯を大切に!日々歯みがきを行っている子達の写真展

わんちゃん編

頑張ったらごほうびね

こももちゃん 7歳

小さい頃からじっとしているのが苦手で歯みがきにも苦戦していました。
お陰で一度病院で麻酔をして歯石取りも(><。)

 

その後はせっかく綺麗になった歯を維持していくために、楽しく声をかけながら短時間で終わらせ、終わったらすぐご褒美(はみがきガム)、というのを繰り返していたら、最近は「歯ブラシしよ!」という掛け声で膝に乗ってくれるようになりました♪

それでも必死に耐えているお顔にはなっちゃいますがw

 毎日はなかなか難しいですが、頑張って一日おきには歯みがきするようにしています!

 


歯みがき大好き

さつきちゃん 12歳

<歯みがきに対する意気込み>

歯石で歯が黄色くなり、口が臭くなってしまったわんちゃんを何匹も見てきたので、それは避けたいなと思って歯みがきを続けています。

 

<難しいところと思うところ>

貴院の歯みがき講座に通ったおかげで、難しいと思うところがありません。

 
歯磨き後にガムを貰えると分かっているので、「歯みがきしよっか!」と声をかけると、喜んで走ってきます。
それが可愛くて、飼い主側も歯みがきをしてあげようとなります。


何より習慣づけることが大事!

こつぶくん 16歳

歯みがきは毎日、夜寝る前にしています。

今日はちょっと面倒だなと思ってしまう日もありますが、歯磨きを1日しないだけで、
お口の中に菌がこもって、においと歯垢が付く感じがするので、
できることはやろうと、続けてやっています。
おかげで口臭はほとんど気になりません。

歯ブラシは幼児用のポイントブラシで“プチソフト”という歯ブラシが柔らかくてサイズもちょうどよく、
裏側にも歯ブラシが届いてお気に入りです。

歯周病リスク検査では今年はなんと!陰性の「1」
昨年は陽性の「3」だったのがショックだったので、プロバイオサイエンスを続けたおかげかなと思っています。

猫ちゃん編

ブリちゃんの毎日歯みがき

ブリちゃん 10歳

以前は拭くだけシートでたまに軽く拭いているだけでしたが、歯茎が赤くなり、今後歯石が溜まることによる口内トラブルが怖いので 最近は猫用歯ブラシでしっかり1日2回、細かく磨くようにしています。起きていると嫌がり難しいのですが、寝てる間に磨くので全然起きずしっかり奥まで磨けます。

ご飯はカリカリしか食べませんが(たまにスープ系をご褒美であげる)、結構汚れが溜まっているので、これからも歯磨きは習慣的に続けていこうと思ってます。

その他、できている!という方のご意見

●仔犬の時にJAMCの歯磨き講座に通ったので、歯磨きをした後はご褒美がもらえる、と習慣づける事ができました。奥歯はなかなか磨きづらいのですが、最初は口を触るのも怖かったので、初歩から教えていただき感謝しています。

●特にありません!ただ、口が小さいので大変です!!
歯茎のマッサージもちゃんとさせてくれます!

具体的なお悩み解決編

歯みがきをさせてくれるようになるには?

  • 嫌がって口を開けてくれません
  • 嫌がるのを無理にやろうとするのが可哀そうで諦めてしまう。
    やらないといけないのはわかっているのに。
  • 時間がかかってしまい、嫌がられます。そのためやる頻度が下がり、徐々にやらなくなってしまいました。
  • 頭や顔を触られるのがイヤなようで、無理にするのもかわいそうで今に至ります。
  • 指にペーパーを巻いて行っていたが、噛まれるのでは...とビクビクしながら行っているものだから、それが伝わってか?犬も怖がってあばれるようになったのでやめてしまった。
  • 怖がってしまう
  • 保護猫なのでまず抱っこが難しい。
    歯ブラシやガーゼを持って近づくだけで逃げてしまう。
  • 無理にやろうとすると普段の抱っこすら嫌がるようになるのでやめました…
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触らせてくれない
日頃からのスキンシップとして、口周りを撫でたり、触らせてくれるような習慣をつけてみましょう。
触られることが好きになってもらうように、(少し大げさに)褒める!褒めまくる!ご褒美をあげるなどして、触られること=嬉しいことに繋がるようにします。


開けてくれない
一生懸命に開けようとするとお互いが構えてしまうので、最初は無理に開けようとしなくて大丈夫です。上唇の隙間からそっと指を入れて、歯にタッチするイメージで歯に触れてみてください。1日目はそれで終了!また翌日、翌々日と、同じことを繰り返してみて下さい。
同じことに慣れてきたら、次のステップ、歯に触れた指を左右上下と少しだけ動かしてみて下さい。それをまた3日目、4日目と続けてもらい、慣れてきたら、動かす範囲を少しずつ拡げてみましょう。


逃げる、抱っこが難しい
抱っこで歯磨きしないといけない!という訳ではないです。
その子に合った歯みがき姿勢でいいと思います。
ただ、嫌がってるのに無理矢理行うのは歯みがきへのマイナスイメージが付いてしまうので、短時間で挑戦&過度に褒める で歯みがきへの良いイメージ付けをしてあげてください。

ポイントは無理にやろうしない。
やるぞ!と気合を入れると、その気合が動物に伝わって身構えてしまいます。
スキンシップの一環として、リラックスをした状態のまま、少しずつ歯に触る機会を増やすという感覚で行ってみて下さい。

もっと上手にできるようになりたい

  • 良い体制などを知りたい
  • うまく磨く方法。歯ブラシ以外に歯ブラシ並みの効果がある方法はあるか。
  • 歯ブラシが一日で嚙み砕かれて、ほとんど歯みがきになりません。
  • シートを噛み噛みして遊ぼうとします。
  • 寝ぼけているタイミングしか歯磨きできません。コツがあれば教えて頂きたいです。
  • 年齢を重ねてからの再チャレンジは無謀でしょうか
  • ちゃんと落とせているか不安
  • どのくらいやればいいのか、ゴールがわからない。
  • 歯石の有無がわからず、綺麗になっているのかもちょっと不明…
  • 猫の歯磨きの仕方
  • ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。

体勢について
“こうじゃなきゃいけない”というのは基本的にはありません。
本人が落ち着ける楽な体勢、もしくはご家族が歯みがきがやりやすい体勢であればそれでOKです。


歯ブラシ以外の方法
歯みがきシートは、歯の見えている部分の歯垢は落とせますが、見えない部分(歯と歯肉の間=歯周ポケット)の歯垢は取れません。デンタルガムや飲み水に入れるタイプなどもありますが、やはり歯ブラシ、特に歯周ポケットに良く届く先細タイプが理想です。


歯ブラシを噛んでしまう/シートがボロボロになる
噛んでしまう・歯ブラシで遊んでしまう場合はすぐに取り上げましょう。
(噛んだら歯ブラシはしないことを教える)
遊ぶならやらない、噛む前に歯ブラシをやめて褒めるを繰り返します。

シートも同様、噛むならやらない、噛む前に引き上げて褒めるを繰り返します。


年齢を重ねての再チャレンジは無謀?
トレーニング次第なので、年齢は関係なく始めていただいて大丈夫です。
口周りを触るのが難しい子は、そこから徐々に慣らせなければいけないので、時間はかかります。

また、歯肉炎・歯周炎などがある場合は痛みから触られるのを嫌がる場合もありますので、その場合は無理せず、治療を優先します。


どの位やればいいかわからない
目安として歯垢のヌルヌルが落とせれば、歯みがき完了です。ただ時間をかけてしまうと嫌がってしまうので、なるべく手早めに終わらせる様にします。歯石や歯垢が残っているところを、ピンク色に光らせ、視覚として認識できる歯科専用のライトもございます。


ゴールがわからない
最低1日1回、歯ブラシで1本1本丁寧に磨くことができれば完璧ですが、個々によってゴールはそれぞれ違います。「嫌がらずに口を触ることができる→歯にタッチしても動かないでいられる→ガーゼで磨くことがきる→歯ブラシで磨くことが出来る」というステップを踏んで、歯ブラシで磨くことがきるようになるのが目指すゴールではありますが、出来るようになるスピードも個体差はあります。難しい場合はデンタルジェルを舐めさせる、歯肉に塗り込む、デンタルガムをあげるなどもデンタルケアのひとつです。その子の性格や状況にあったデンタルケアをしながら、継続することが何よりも大事!無理ないペースで。歯ブラシで磨いていても、磨き残しによる歯垢の付着から歯肉炎、歯周炎と進行している場合もあるので、定期的な検診は必要となります。


猫の歯みがき
猫の歯みがきの場合、歯ブラシに慣らせるのは、犬よりも性質上難しい場合があります。猫用のデンタルガムや、口腔環境を整えるサプリなどの使用もおすすめします。また、洗濯ネットに入れて顔だけ出してやる方法や、寝ている間に行うという方もいらっしゃいます。歯ブラシの触感が苦手という場合は、濡らした綿棒を使うとやりやすいかもしれません。

歯科専用ライトで照射すると、このように歯石や歯垢が残っているところがピンク色に光ります。

残りやすいところが可視化してわかるので、そこの部分を重点的に磨くことができます。

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難しい場所、力加減の問題

  • 内側が磨けない
  • エナメル質が人間より圧倒的に少ないと聞いたので、どの程度磨いていいのか?
  • ガーゼで実施しているが、指の力がそのまま伝わるため歯茎が赤っぽく傷んでいるように見えて申し訳ないのと、可哀そうな気持ちがあります。
  • 犬歯の根元が汚れやすいので、そこをガシガシしようとしたら、出血することがあるところが難しいです。
  • 奥歯がやはり難しいです。奥歯、歯の裏側を磨くコツが知りたいです。
  • 血が出て痛そう、、
  • 歯の外側は何とか磨けても、内側は一度も成功していない
  • 1本ずつ磨いていて、犬は長くなると嫌がるのでご褒美(フード)を与えながら磨いていますが、口の中はそれでいいのか?
  • 毎日するのは努力できない
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内側問題
内側は特に磨くのが難しいため、まずは外側をしっかり歯ブラシできるようになってから!

表側と同じく犬歯や第4前臼歯(奥の上の大きい歯)が歯垢が付きやすいため、そこを磨けたらベストですが、表側がしっかり磨けていればケアとしては十分です。


奥歯問題
歯を直接見ながら歯ブラシで磨くことが理想ではありますが、小型犬などは口が小さいため、奥歯が見えない、そもそも歯ブラシが入りきらないなど、難しい場合もあります。

・頬の皮を横に引っ張ると空間ができるので、その隙間に歯ブラシや指に巻いたガーゼでこする
・タフトブラシのような先端が小さいブラシを使用する
・歯ブラシが難しい場合は、奥歯を使うようにデンタルガムを噛ませてあげる など
奥歯全体を磨くのは難しくても、奥歯の上の大きい歯(第四前臼歯)に歯垢がつきやすいため、そこだけでも磨けるようにできれば


強さ
歯ブラシがすこしたわむ程度(100gほどの力をかける)が目安です。
強すぎたら痛いですが、弱すぎても歯周ポケットの中の歯垢に届かないので、ある程度の力は必要になります。


出血
歯肉から出血する場所は、既に細菌感染による炎症が起こっているため、出血するところほどしっかり磨いて細菌を掻きだしてあげることが必要になります。炎症が治まれば自然と出血もしなくなるようになります。
歯と歯肉の間に歯石が付着している場合は、歯ブラシでは歯周ポケットに届かず炎症が中で広がってしまう可能性があるので、歯肉が赤く腫れていたり出血がひどい場合には、一度診察で診てもらいましょう。


ちゃんとできているかどうか
「歯周病=歯石」ではないので、歯石が付着していなくても歯周病が進行している場合はあります。
歯肉の赤みや腫れ、歯肉からの出血がないかのチェックします。
また、細菌の感染がなければ基本的に口臭はしないので、口臭がする場合も注意が必要です。
歯みがきのやり方に不安がある場合は、当院の歯みがき養成塾を是非受講してください!


毎日するのは努力できない
習慣づけることが大切です。たまにしっかり磨くより、少しでもいいからコツコツ毎日磨いた方が効果的です。
また動物もたまにされるよりも、毎日の方が慣れてきてくれるようになります。

ついてしまった歯石は?口臭が気になる、、

  • サプリを舐めさせたり(粉)、デンタルチューブを嚙ませたりしていますが、奥の歯が心配。しばらく歯みがきをしていなかった間に歯石が溜まってしまい、それはもう取れず、困っている。
  • 一度ついてしまった汚れが歯磨きでは落ちない。
  • 黄ばみが取れない
  • 口を触られるのを嫌がり困ってます。歯みがきジェルをつけると舐めておしまいになってしまう。歯石が溜まって心配。病院で麻酔なしにできる方法があれば安心。
  • 口臭もひどいので色々試しましたが、ガムもダメでした。
  • この先全身麻酔で歯石取りをしなくてはならないのか心配です。
  • 歯磨きをしても、結局歯石が溜まってしまう。また、麻酔をしてとらなくてはいけなく、費用もかかる。
  • 毎日磨いても歯が黄色いのと、少しづつ溜まった歯石を減らすことが出来ない。
  • 歯磨きは難しいが、歯石取はデンタル器具を用いてこまめに行っているが、それで問題ないのでしょうか?
  • ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。

一度ついてしまった歯石・汚れ・黄ばみ口臭
一度ついてしまった歯石は基本的に歯みがきでは除去できないため当院では麻酔下でのスケーリングを推奨しています。
まれに歯みがきガムなどで歯石が取れるケースもあるようですが、肝心な歯周ポケットの歯垢・歯石は取れません。また、硬すぎるものを噛ませると、簡単に歯が欠けたり折れたりしてしまい危険です。絶対に与えないようして下さい。(ハサミで切れない固さのものは与えてはいけません)

歯垢などの黄ばみ・汚れはある程度歯みがきで落とすことができますので、歯ブラシや歯みがきシートを使用し、定期的に歯みがきを行ってください。口臭が気になる場合は口腔内の善玉菌を補うサプリメント「プロバイオサイエンス」で口腔内の環境を整えてもらうことをご案内しています。


無麻酔でのスケーリング
無麻酔でのスケーリングは、動物に強い痛みと恐怖心を感じさせ、口を触られるのがトラウマになってしまったり、処置中に暴れて重大事故を引き起こすリスクがあります。また、正確な診断と治療ができないため当院では麻酔下でのスケーリングを推奨しています。
まずは受診いただき獣医師とご相談ください。
持病等があり全身麻酔を悩まれている方もまずはご相談いただき、麻酔をかけて問題ないかを確認した上で実施いたします。

何を使ったらいい?おすすめの道具系

  • 味のついているガーゼを使い始めたら味が美味しいのか、やらせてくれるようになりましたが、歯ブラシで噛まずにやらせてもらうようにしたいです。
  • 歯ブラシのサイズで悩んでいます。
    犬の大きさによって歯ブラシのサイズが違うと思うので、サイズや形など、どれがいいか迷います。
  • 歯磨き粉はつけたほうがいいのか、つけるとしたらどれがいのか知りたいです。
  • 歯ブラシはなかなか難しいので、指にペーストをつけてやっています。やらないよりはいいかな、と思っています。
  •  歯ブラシを重視したいところだが、歯ブラシだと嫌がってしまうので、なかなか難しい。
  • 飲水に入れる歯磨きなども試していますが、果たして効果があるのか、やらないよりは良いのか…
  • 自分ではしっかり磨けないが、歯の健康は重要と考えており、毎月の美容院で歯磨きコースで定期的に歯垢除去している。
  • 歯磨き粉やサプリなどはカラダに悪いものが入ってないか怖くて使えません。
  • 老犬や色々な疾患がある犬も食べられる歯磨きガムが欲しいです。
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歯ブラシのサイズ
奥の細かいところまで磨けるようヘッドの小さいものがおすすめです!
LIONのデンタルブラシは歯周の状態に合わせて選べる「ラウンド」「ダブル」「超極細」の3タイプの毛先が選べます。
先が細くなっているタフトブラシも、歯を1本1本磨けておすすめです。


おすすめの歯みがき粉
動物用の味がついているものは、ワンちゃん猫ちゃんが歯みがきを受け入れてくれやすいです。
当院ではライオンさんから出ている歯みがきペーストとオーラティーンを取り扱っています。
歯ブラシがまだ苦手な子は、まずは歯みがき粉を舐めさせるところから慣れさせていきます。


老犬や疾患がある子でも食べられるガム
シニアでも歯周病がしっかりコントロールされていれば若い子と同じガムで問題ありません。ただし歯周病が進行している場合は噛みづらくなるため、しっかり噛めていない場合はまずは歯周病を疑い獣医師に相談してください。
当院ではワンちゃん用ではベジデントフレッシュとオーラベット、猫ちゃん用はビルバック社のインテリデントガムを取り扱っております。
疾患のある子でも歯みがきガムを与えても問題ない事が多いですが、アレルギーなど注意が必要なこともあるため、獣医師にご相談ください。


頻度
月イチで美容室でやってもらっているから大丈夫というわけではありません。
わんちゃんは歯垢が3日で歯石に変わり、猫ちゃんは歯垢が5日で歯石に変わると言われています。
なので歯みがきの頻度は、最低でも3日に1回は歯みがきが必要になってきます。
先が細くなっているタフトブラシも動物に使いやすいです。
猫専用の歯みがきガムもあります。

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まとめ

皆様こんにちは。日本動物医療センターグループ歯科チームリーダーの獣医師 與名本です。


今回のイベントのテーマは『ワンちゃん・ネコちゃんの歯磨きを応援する』だったのですが、、、

突然ですが、皆様ご自身の歯の健康に関して自信はありますか!?笑

自信がある!と思った方もそうでない方もいらっしゃるかと思いますが、定期的に歯医者さんで検診を受けてらっしゃる方はどのくらいいらっしゃるかご存知でしょうか?

実は定期チェックを受けてる方は3人に1人しかいないとの調査結果があります。自信がある!と思った方の中には、毎日歯をしっかり磨いてるのに定期チェックなんて必要なの?と思ってる方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。


では、『8020(ハチマルニイマル)運動』をご存知でしょうか?

 8020運動とは、80歳で20本の歯を残そう!と言う、厚生労働省と日本歯科医師会が広く国民に提唱している啓発活動です。

 この8020運動のキモの1つとも言えるのが、3か月に1回の歯科医院での定期検診です。これは、「歯周病治療を受けた後、適切なセルフケアが出来ていたとしても、歯周ポケット内の歯周病菌の数は3か月で元の値まで戻ってしまう」と言う、予防歯科先進国であるスウェーデンで発表された論文が根拠になっています。

つまり、「毎日歯みがきをしていたとしても、3ヶ月に1回の定期検診無しでは、80歳になった時に20本の歯を残せないかもしれない」という事なのです。

 

ではワンちゃん・ネコちゃんはどうでしょうか?

 

実はワンちゃん・ネコちゃんにも歯周病治療ガイドラインが存在するのです。残念ながら日本国内にはないのですが、AAHA(アメリカ動物病院協会)から「2019 AAHA DENTAL CARE GUIDELINES for Dogs and Cats」が発行されています。

 

その中で提唱されている要旨を以下に抜粋します。

 

1. 生後6か月を経過したら最初の歯科検診を受けること

2. 小型~中型犬・猫は1歳、大型犬は2歳になったら初回の麻酔下口腔検査(歯科X線を含む)、クリーニングを行うこと

3. その後は半年に1回、少なくとも1年に1回の定期的な麻酔下検査・スケーリングを行うこと

4. 高齢であることや基礎疾患(持病)の有無を理由に、定期的な麻酔下検査やスケーリングを絶対にやめるべきではない

5. 無麻酔での歯石除去は完全に美容目的であり、正確な診断が出来ず治療には効果がないこと、また動物に恐怖や苦痛を与え怪我や誤嚥の危険性などの理由から適切ではない

 

それでは上記を一つずつ解説していきましょう。

 

1. 人でも幼少期からの定期歯科検診が推奨されているように、ワンちゃん・ネコちゃんも早期に歯科検診を開始することで、噛み合わせの問題や乳歯晩期残存(乳歯が抜けずに残ってしまうこと、乳歯遺残とも)、若年性の歯肉炎などに関して気付くことができます。これらを気付かず放置してしまうと、早期に歯周病を発症して若いうちに歯を失ったり、かみ合わせが悪く口腔内や口唇に潰瘍ができて痛みで食事がとれなくなったり、更に悪いケースでは顎に癌が出来てしまったりすることもあります。


2. 人では30代で60~70%に歯周病所見が認められるといわれていますが、ワンちゃん・ネコちゃんはどうでしょうか?実はワンちゃん・ネコちゃんも3歳までに70~80%が歯周病に罹っていると言われています。別のデータでは、小型犬の場合は1歳になった時点で既に90%が歯周病を発症しているとも言われています。また、歯科X線による評価もとても重要で、肉眼的に問題のない(見た目がきれいな)歯をしているワンちゃんの28%、ネコちゃんの42%に異常所見が見つかったと言われています。従って1歳になってから歯科検診を開始したのでは遅く、もっと早期に検診を開始し、1歳の時点で初回の麻酔下検査とクリーニングが必要なのです。


3. ガイドラインでは、進行した歯周病がある場合は病気がコントロールされるまで1か月ごとに麻酔下の検査と治療を行い、なおも歯周炎(重度の歯周病)が残る場合は3~6か月ごと、歯肉炎(軽度の歯周病)がある場合は6か月ごとの麻酔下検査・治療が推奨されています。動物では全身麻酔が必要にもかかわらず、なぜこれほどまでに歯周病のコントロールが必要なのか疑問に思いませんか?

それは、『繰り返し麻酔をかけることよりも、歯周病を放置することの方が健康へのリスクが高い』と言われているからです。歯周病を放置すると顎顔面の疾患(歯が痛い・抜ける、頬や歯肉に穴が開く、顎の骨が折れる、慢性的な鼻炎に悩まされる等)に限らず、動物でも全身の疾患(心疾患、腎疾患、肝疾患、糖尿病)を引き起こす可能性があることが知られています。


4. 高齢や基礎疾患の存在は確かに麻酔のリスクを上げることが知られていますが、それらが原因で極端に死亡率が高まるわけではありません(例えば10頭に1頭が死んでしまうなどという極端なことはありません)。従って、上記を理由に麻酔下の検査・処置を避けることは、歯周病の進行によりむしろ基礎疾患の発現や悪化を引き起こしたり、口腔内の癌などを見落とし、結果として寿命を短くさせてしまう可能性もあります。
近年、「1年に1回の麻酔下スケーリングが犬の死亡リスクを18.3%低下させた」といった報告も出ており、1年に1回の歯周病治療が健康寿命を延ばすことに有効であることを裏付ける研究結果も出てきています。

もちろん中には重度の疾患(末期の心不全や腎不全など)を患っており、リスクがかなり高いと判断されるケースもありますので、術前検査による健康状態の正確な評価と、担当医との事前の相談はとても重要です。


5. 歯周病は歯肉と歯の間(歯肉溝)に歯垢が付着し炎症を引き起こすことで歯周ポケットを形成し進行していく病気です。従って歯周ポケットの歯垢・歯石をどれだけ完全に除去できるかが最も重要です。
進行した歯周病ほど歯周ポケットの処置には痛みを伴うため、無麻酔の処置ではワンちゃん・ネコちゃんは強い痛みを感じ、嫌がったり暴れたりするため、完全にきれいにすることが出来ないばかりか思わぬ事故を引き起こす恐れがあります。実際に骨折や脱臼、肺水腫の発症、死亡事故などの報告が相次いでおり、日本の獣医業界でも以前から警鐘を鳴らしています。ただし、無麻酔での歯石除去が「100%悪」というわけではなく、麻酔リスクが極端に高い症例などで、かつ大量の歯石付着により口腔粘膜に極度の炎症を引き起こし重度の痛みを感じているケースなどでは、大きな歯石の塊を除去するだけで痛みが緩和されるケースもありますので、こういった稀な症例では個別に相談することは可能と考えられます。しかしながら、十分な説明と同意がなされず、定期的な無麻酔の処置で歯周病の管理が可能という誤解をご家族様に与えたまま、獣医師が安易に無麻酔の処置を推奨・実施することは厳に慎むべきと考えられています。




ワンちゃん・ネコちゃんはいかに歯周病が多く、そのコントロールが重要かお分かりいただけましたでしょうか?ではむし歯はどうなの?と疑問に思う方もいるかと思います。実はワンちゃん・ネコちゃんの口腔内トラブルは歯周病関連が最も多い一方で、ワンちゃんの齲蝕(うしょく:むし歯のこと)は人に比べ非常に少なく、ネコちゃんでは報告がありません。従って、歯冠部(歯肉から出ている歯の頭の部分)の歯磨きの重要性は比較的低く、歯周ポケットをいかにきれいに保つかが重要なのです。

 

「プラークコントロール」という言葉がありますが、歯周ポケットの歯垢を除去することで歯周病菌の増殖を抑え、歯周病の進行を予防することが出来ます。人では「Red Complex」という歯周病菌の極悪御三家であるPorphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス、以下P.g菌)・Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコーラ)・Tannerella forsythia(タンネレラ・フォーサイシア)が有名で、そのトップに君臨するのがP.g菌だと言われています。ワンちゃん・ネコちゃんの口腔内にもP.g菌の親戚であるPorphyromonas gulae(ポルフィロモナス・グラエ、以下グラエ菌)が存在し、歯周病の主な原因菌になっていると考えられています。

 

歯周病菌のほとんどは酸素を好まない嫌気性菌で、歯垢歯石が沈着して酸素が届きにくくなった歯周ポケット内で血液を餌に増殖します。歯肉に炎症が起こると出血し嫌気性菌が大量に増えるため、炎症の原因となる歯垢を歯ブラシで除去して炎症を抑え、歯周ポケットに酸素を送り込むことで歯周病菌の増殖を抑えられると考えられています。

 

このグラエ菌がどのくらい活性化しているかを調べる検査が、当院で実施している「歯周病リスク検査」です。一見、肉眼上では歯石がほとんどなくきれいに見える歯だったとしても、この検査で陽性反応が出た場合はグラエ菌が活性化しており進行した歯周病がある可能性が非常に高いため、すぐにでも麻酔下での検査・治療をご相談いただいた方が良いと考えられます。

 

今回の総論では毎日の歯ブラシによるホームケアに加え、定期的な麻酔下での検査・治療の重要性に関して、ワンちゃん・ネコちゃんの歯周病治療ガイドラインに加え様々な科学的データを基にご説明させていただきました。私たちは、『歯の健康を保つことが長寿の秘訣になる』と信じています。これを読んだご家族様が正しい知識を身に付け、皆様の大切な家族であるワンちゃん・ネコちゃんが、共に『健康で美しく長生き』できるよう、今後もお手伝いさせていただけますと幸いです。

 

 

日本動物医療センターグループ

歯科チームリーダー・獣医師 與名本 輝

歯みがき養成塾のご案内

  • ①初回1時間 講義と実践 5000円
    「口腔内のお話」
    「歯周病とは」
    「なぜ歯磨きが必要なのか」
    上記を理解して頂いた上で、デンタルケアの方法を伝授します。

    ②2回目以降 約15〜30分 1000円
    1回限りの受講で終わりではなく、歯みがきマスターになっていただくのが目標のため、その後も月に1回のペースで来院していただき、自宅でのケアの確認・次回の目標設定をします。


    日程は講師と調整が必要なため、ご希望の日時を伺い調整します。
    大体13時前後での開催になります。


    歯ブラシで磨けるようになるまでの期間は、ワンちゃんの性格やご家族のトレーニングの頻度・継続次第で変わります。
    順調に行けば半年くらいで歯ブラシに到達する方もいれば、口周りを触れないところからスタートする方もいるので、そういった方は1年後にしっかり磨けるのが目標といったペースになることもあります。

    大切なのは、デンタルケアを「継続」することです!
    ワンちゃんとご家族様のモチベーションを維持していけるよう、一緒に頑張っていきましょう!
  • ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。

当院の公式YouTubeでも歯みがきの仕方を紹介しています。
こちらも併せてご参照ください。

「歯磨きを始めてみよう」

「歯磨きマスターになろう」

小見出し

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日本動物医療センター 絆プロジェクト
〒151-0071
東京都渋谷区本町6-22-3
TEL 03-3378-3366